芥見下々先生の大人気漫画「呪術廻戦」に登場する1級呪術師「七海建人」(通称: ナナミン)の身に、”未曾有の呪術テロ「渋谷事変」”で何が起きたのかまとめました。
ハロウィンの渋谷に”帳”が降り、七海班として伏黒恵と猪野琢真と一緒に駅構内に突入した段階から、禪院直毘人と禅院真希と共に戦った特級呪霊「陀艮」や、満身創痍状態で現れた「漏瑚」。
七海建人は渋谷事変で一番頑張っていたと言っても過言ではないほど、痛々しい姿になりながらも戦い続けました。本記事では「虎杖悠仁」に託した最後の言葉と衝撃の結末までを含み、七海建人の活躍と死亡までが何巻・何話なのかネタバレ有りでご紹介。
※本記事は「呪術廻戦」に関する重要なネタバレを含みます。
はじめに:七海健人とは? 1級呪術師としての役割と影響力
七海建人は、爆発的な人気を誇る漫画・アニメ『呪術廻戦 (Jujutsu Kaisen)』に登場する1級呪術師で、呪術高専東京校のOBです。彼の特徴的な外見はサラリーマン風のスーツ、独特な形状の眼鏡、そして七三分けの髪型です。家系は非呪術師であり、母方の祖父がデンマーク人のクォーターであるという多文化的背景を持っています。
七海は学生時代に多くの困難に直面しています。唯一の級友であった灰原雄を目の前で失ったこと、また慕っていた先輩である夏油傑が呪詛師に堕ちたことなど、苦い経験が多く彼を呪術師から離れさせました。
”呪術師はクソ”という結論を出した七海建人は一時期、一般企業に就職して生計を立てていましたが、ある日、低級呪霊に憑かれた女性を助けたことで、自分が「やりがい」や「誰かに必要とされること」を求めていたことに気づき、呪術師に戻る決断をします。
彼は五条悟の学生時代の一年後輩であり、呪術師としての道を選び直す際には五条に最初に連絡を取りました。五条に対する評価は「信用しているけど、尊敬はしていない」と公言しています。しかし五条からは高く評価され、新人呪術師の虎杖悠仁の指導を任され、虎杖からは「ナナミン」と呼ばれるようになります。
名前 | 七海建人 (Kento Nanami) |
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声優 | 津田健次郎 (Kenjiro Tsuda) |
誕生日 | 1990年7月3日 |
年齢 | 27歳 |
身長 | 184cm |
初登場 | 第8話 退屈 |
等級 | 一級呪術師 |
所属 | 東京都立呪術高等専門学校OB |
趣味・特技 | 酒、自炊 |
好きな食べ物 | パン(割とグルメ)、アヒージョ |
苦手な食べ物 | 平麺 |
黒閃 | 連続発生記録保持者 (4回) |
武器 | 大鉈 (普段は呪符を巻いている。) |
能力 |
十劃呪法 (とおかくじゅほう / Ratio Technique) 対象の長さを線分した時に7:3の比率の点に強制的に弱点を作り出す術式。 拡張術式 瓦落瓦落(がらがら / Collapse) 建物をクリティカルヒットによって倒壊させ、破壊した対象に呪力を篭める彼の拡張術式。 |
縛り |
①時間による縛り 普段は呪力を80~90%に制限しているが、彼の定めた時間を超えて仕事が長引くと呪力が増していく。(本人曰く時間外労働) ②術式の開示 手の内をさらすという縛りが術式効果を底上げする。 |
それでは、「七海建人」が渋谷事変でどれほど活躍したのか、その衝撃的な最期はどうだったのか。単行本10巻から14巻にかけての「渋谷事変」で、七海健人という呪術師の活躍と衝撃の最期に焦点を当てて、詳しく探ります。
七海健人の渋谷事変での活躍 (単行本10巻 第83話~)
七海健人の活躍は単行本10巻第83話「渋谷事変①」から始まります。この時、渋谷駅周辺に一般人を閉じ込める帳が降ろされ、彼は伏黒恵(ふしぐろ めぐみ)と猪野琢真(いの たくま)と共に「七海班」として待機していました。この班は補助監督である伊地知潔高(いじち きよたか)から状況説明を受け、行動を開始します。
この事変において、五条悟が偽夏油に封印されるという国家レベルの危機が発生します。電波が絶たれており、連絡手段が断たれている中で、この情報は虎杖悠仁から七海健人へと伝えられました。
この情報を受け、七海は即座に行動計画を変更。彼は虎杖と合流し、五条を助けるためにまず「帳」を解除する必要があり、そのために伏黒恵と猪野琢真に行動を指示します。
しかし、七海が一度帳の外に出て、伊地知潔高と連絡を取る間に、補助監督の伊地知は呪詛師に刺されて倒れていました。
この状況に怒りを露わにし、亡くなった同期・灰原雄と伊地知を重ね、「ナメやがって」と激怒します。この瞬間から、七海は呪詛師を捜すために独自の行動を開始するのでした。
七海健人 VS 呪詛師・重面春太の戦い(単行本12巻 第99話)
呪詛師・重面春太に苦しむ釘崎野薔薇と新田明の前に突如として、七海建人が現れます。緊迫した状況の中、七海健人の登場はまさに救世主のごとく。
特に印象的なのは、彼が既に右手拳にネクタイを巻きつけ、真人戦で見せたような戦闘態勢を整えていたことです。
一級呪術師の実力を見せつける七海建人
重面春太が彼に対して蹴りを放っても、七海健人の体はまるで岸壁のような硬度を持っており、ダメージは一切ありません。この一点で、重面春太自身も七海の戦闘力がいかに高いかを痛感します。
何も知らないふりをする重面春太に対し、七海健人は呪詛師の数と配置について質問。答えが返ってこないと、彼は間髪入れず十劃呪法で重面の顔面に強烈な一撃を放ちます。その威力は、重面春太が自身の術式が無ければ即死していたと自覚するほどで、逃げ場を失った重面春太はさらに焦りを感じます。
重面春太が逃避を試みるも、七海健人は容赦なく彼を捕まえます。再度、呪詛師の数と配置について質問し、重面が「本当に知らない」と答えると、七海は彼の鳩尾に追加の一撃を与えます。
最後に、七海健人は重面春太の首をしっかりと掴み、多数の補助監督が殺されていた事実を口にします。重面がその犯人であると確認すると、彼は呪力を高め、十劃呪法で重面を沈めます。
重面春太を倒した後、釘崎野薔薇と補助監督の新田明と「2人はここで救護を待つように」と伝え、”私も行く”と言いかける釘崎に対して、「これからの戦いは、1級(わたし)で最低レベルです」と言い、若い2人を守るためにあえて「足手まといは邪魔です。ここで待機を」と突き放すように危険から遠ざけようとしました。その後、特別一級術師・禪院直毘人と禅院真希と合流し、井の頭線渋谷駅アベニュー口に降り、特級呪霊「陀艮」と相まみえます。
七海健人 VS 陀艮(だごん)の戦い(単行本12巻 第106話)
七海健人、禪院直毘人、そして禅院真希は井の頭線渋谷駅アベニュー口で特級呪霊・陀艮と対峙しました。この陀艮は、渋谷駅で多くの人々を食べることで成熟した恐ろしい存在で、水の力を操る伏黒恵の『満象』を遥かに凌駕する水流を生成しています。
初めて陀艮の水の防壁に触れたとき、七海たちはその固さに驚きました。三人が力を合わせても、陀艮の体にダメージを与えられなかったのです。しかし、禪院直毘人は「技を出す前に速度で潰す」という戦術で局面を一変させます。そのおかげで、陀艮は術式を発動する間もなく、三人は攻撃を仕掛けることに成功します。
だが、陀艮は巧妙に領域展開『蕩蘊平線 (たううんへいせん)』を発動。この瞬間、七海たちは陀艮が作り出した領域に引き込まれました。陀艮はさらに、術式解放『死累累湧軍 (しるるゆうぐん)』で、無数の魚の式神を召喚。陀艮は「7(禪院直毘人) : 3(七海建人)」で狙いを定め、無数の魚により七海はこの攻撃で左目を損傷し、全身にも傷を負います。
しかし、この緊急の状況で伏黒恵が外から領域展開『嵌合暗翳庭』で侵入。伏黒はすかさず真希に特級呪具「遊雲」を私、そのまま伏黒と陀艮の領域の綱引きが始まり、その結果、陀艮の必中効果が無効化されました。七海は、伏黒が陀艮との綱引きをしている間、死累累湧軍の魚の式神を祓い続けます。
伏黒からの情報で、領域そのものに穴を開けて脱出する作戦を知った七海は、短く「集合!」と叫び、禪院直毘人と真希を呼び寄せます。しかし、伏黒恵が開けた穴からは信じ難い事に鬼神「伏黒甚爾」が突如として登場します。
伏黒甚爾は、禪院真希が伏黒恵から渡手にもっちえた「遊雲」を奪うと、そのまま、その場の強者である「陀艮」を襲い始めます。最終的に、呪力を持たない「伏黒甚爾」がたった一人で特級呪霊の「陀艮」を討伐しました。その後、伏黒甚爾は伏黒恵を連れ去ってしまいます。
この戦いでは伏黒甚爾のインパクトは勿論のこと、七海健人が一級術師としてどれだけ信頼されているかが、よくわかるシーンが描かれましsた。それは禪院直毘人と禅院真希が彼の短い指示、たった一言の「集合」に忠実に従ったことからも明らかです。
七海健人 VS 漏瑚(じょうご)の戦い(単行本13巻 第111話)
陀艮を討伐した後の一息ついた瞬間、七海健人、禪院直毘人、禅院真希の三人は井の頭線渋谷駅アベニュー口構内に帰還します。しかしこの短い平和は長くは続きません。特級呪霊・漏瑚が登場し、緊迫した空気が再び漂い始めます。漏瑚は登場と同時に「逝ったか…陀艮(だごん)」と言い、「百年後の荒野でまた会おう」と仲間である陀艮を弔います。
漏瑚はその冷酷なオーラで場を圧倒し、三人は陀艮とは比較にならないほどの漏瑚のオーラに気圧されます。その目的は、陀艮の亡骸を灰に変えることでした。
真っ先にその炎の力を受けたのは七海健人でした。漏瑚はスムーズに七海の間合いに入り込み、腹部に手を置いて上半身を焼き尽くします。
続いて、禪院直毘人と禅院真希も漏瑚の炎により焼き尽くされ、七海建人、禪院直毘人、禅院真希が一瞬のうちに壊滅されられてしまいました。しかし、この戦いで七海健人は重傷を負いつつも生き残ります。
七海健人、最後の瞬間と死因(単行本14巻 第120話)
七海健人は特級呪霊・漏瑚による攻撃から瀕死のところで一命を取り留め、燃え尽きた体で渋谷駅内で彷徨っていました。
描かれるは原作漫画第14巻 第120話「渋谷事変 38」で、時刻は23時14分、舞台は『渋谷事変』の最中、渋谷駅構内であった。彼の左半身は焼け焦げ、左目は空洞となっているという痛々しい状態にありましたが、それでも愛用の武器を片手に、渋谷駅をさまよい歩き階段を降りると、真人が生み出した大量の改造人間に遭遇します。
この瞬間、七海の心の中で「マレーシア…そうだな…マレーシア…クアンタンがいい」と、海辺で穏やかな余生を過ごす夢が描かれました。
しかし、現実に引き戻され、自問自答が始まります。「伏黒君を助けに…真希さん..直毘人さんは? 2人はどうなった。。。?」と、その心の葛藤を胸に、疲弊しきった瀕死の体で、群がる改造人間を一掃します。しかし、その直後に突如として真人が現れ、その掌が七海健人の胸元に触れます。この瞬間、彼は真人に「…いたんですか」と平然と問います。
真人は、何度かの戦いを経ている七海建人に対して、少しだけ話す猶予を与えます。そこで七海は、「一度逃げた身でありながらやり甲斐なんて曖昧な理由で呪術の世界に戻ってきのに、私は結局何をしたかったのだろうか」と内心で問いかけます。
次に、灰原雄の幻影が七海健人の目の前に現れます。その方向には、虎杖悠仁がいました。七海は、「駄目だ灰原、それは違う、言ってはいけない、それは彼にとって呪いになる」と心の中で独白します。
しかし、その独白を破るようにして、七海健人は虎杖悠仁に向けて「後は頼みます」と言葉を遺し、その瞬間、真人によって上半身を破裂させられ、命を落とします。その言葉は、怒りを力に変える虎杖に向けてのもので、虎杖の未来に重荷をもたらすことを承知の上で、七海はその言葉を遺す決断を下したのでした。このエピソードは、原作コミックスの単行本14巻 第120話にて描かれました。
七海建人の遺言「後は頼みます」—この言葉が虎杖に与えた二面性
虎杖悠仁の心の崩壊: 連続する衝撃的な出来事
虎杖悠仁は、「後は頼みます」という言葉を胸に目の前の呪霊を祓うため戦おうとしますが、彼は渋谷事変のさなかに多くの心的外傷を受けました。脹相との戦いの敗北、宿儺による大量の人々の殺害、そして七海健人と釘崎野薔薇の死。これらの出来事が続き、虎杖の精神は限界を超えていました。
東堂葵との合流: 己の罪と向き合う虎杖
しかし、単行本15巻第127話『渋谷事変㊹』で、東堂葵と合流すると、虎杖は彼に対して仲間の死や、自分が奪った無数の命について懺悔の念を口にします。かつての信念がただの言い訳だったと悔い、自己嫌悪に陥ります。
その中で東堂は、『俺たちが生きている限り死んでいった仲間が真に敗北することはない』と言い、死者への敬意を欠く行為にはならないよう励まします。彼の言葉により、虎杖は少しずつ立ち直り始めます。
七海健人の残した言葉: 「後は頼みます」という重み
そして、虎杖が再び立ち上がる力となったのは、ここでもやはり七海健人が遺した「後は頼みます」という言葉でした。この一言によって、虎杖は自分自身の罪を認め、逃げずに向き合う決意を固めます。七海に対しても、その罪を認め、謝罪します。
結果的に、虎杖は七海の言葉によって立ち上がり、「俺 ナナミンの分までちゃんと苦しむよ」と心の中で新たな覚悟を決め、呪術師として戦う道を選びます。しかし、その決断が彼にとって真に救いとなるのかは不明です。だが、心が一度壊れた後に再び立ち上がる力となったのは、七海の言葉があったからです。それが彼にとって呪いか、それとも救いか、その答えはまだ見えておらず、虎杖が進む先にしか答えはありません。